2024.09.02

仲西眼鏡店の工房の歴史#1

初めまして!

仲西眼鏡店 新人スタッフの田中です。

 

仲西眼鏡店の新たな試みとして、仲西眼鏡店の歴史や技術、眼鏡についてもっと知っていただくために、代表の仲西社長に新人の田中が仲西眼鏡店について深掘りしていく対談企画をスタートいたします。

 

初回は仲西眼鏡店のシンボルにもなっている店舗内工房について深掘ります。

 

田中:それではよろしくお願いいたします!

仲西:お願いします笑

田中:早速ですが、なんで仲西眼鏡店って工房がついてるんですか?

仲西:元々うち、1990年代に仲西眼鏡店オリジナルのフレームを職人さんに作ってもらってたんですね。
だけどやっぱり将来「オリジナルを自社で作りたいよね」って先代の社長と話してて。まあ、先代というと、僕からするとおやじに当たるんですけど「そうやね、それもそれこそ自社で作ることができたらもう最高やね。」みたいな感じで僕も思ってたんですよね。

仲西:僕は95年から98年ぐらいまでアメリカに行ってたので、その間は海外市場しか見てなかったんですけど、だいたい2000年前後を皮切りにメガネ業界って結構大きく変わったんですよ。

田中:え!?そうなんですか、どんなふうに変わったんですか?

2000年前後のメガネ業界について

仲西:やっぱりあの、3プライスの低価格チェーン店など、廉価な眼鏡が結構広く出だしたタイミングでもあるし。
あとはブランド獲得競争みたいなのが盛んだったんですよね。早い者勝ちみたいな感じで、海外の展示会とか、日本にまだ紹介されていないようなメガネを探してはいち早くそこと契約して、日本にメガネを紹介するっていうのがだいたい2000年前後ぐらいで結構頻繁に行われてたんですよ。

仲西:その状況を見て、僕は「やばい」と思ったんですよ。

仲西:確かにね、当時はなんていうのか、会社自体をブランディング化するっていう概念があんまりなかったので。
このブランドのメガネをどこのお店で買うのかっていう視点だけだったと思うんですけど、2000年、ブランド取り合戦みたいなのがガーって盛んになった時に「あ、これこのままじゃやばいな」と思って。やっぱり自分の会社でメガネちゃんと作れるようにならないとこれいつか終わるなと思ったんですよね。

仲西:今から約14年前、2010年ぐらいの時に、「手作り、本格的にやらないといけないと思うんだよね」って当時の社長(親父)に言って。
「まあ、そんなこと言っても簡単に作れるようなものじゃないし」みたいな感じで言われて。「ちょっとそういうのさ。教えてくれる人誰かいない?」って聞いたら「いや、いるにはいるけど」って紹介されたのが、その1990年代に仲西眼鏡店のオリジナルフレームをお願いしてた職人さんだったんですよ。

田中:あれ?じゃあ元々仲西さんって職人さんじゃなかったんですか?

仲西:うちはね、もともと家系は職人家計なんですけど、親父の代は職人じゃないんですよ。

田中:そうだったんですね。

2000年代の仲西眼鏡店

仲西:当時はマーケティング、ブランディングがメインだったんですよ。
要は、世界中からいろんなブランドをいち早く取り寄せてお客様に紹介してたっていう。ま、今で言うごくごく一般的なセレクトショップですよね。

田中:なるほど

仲西:で、うちのじいちゃんとひいじいちゃん、つまり仲西眼鏡の初代と二代目は金物、メタル枠の職人工なんですよ。
それもあって、僕は結構じいちゃんからいろいろ眼鏡の作り方とか修理の仕方とか、ろう付けの手順とかいろいろ教えてもらってたので、いつかこういったことできたらいいなってぼんやり思ってたんだけど、 タイミング的にその2010年ぐらいの時に「本気で覚えたいんだけど、繋いでくれるだけでいいから繋いでくれない?」って言って親父につないでもらったのが、僕の師匠である鈴木さん。

仲西:で、鈴木さんに繋いでもらったんだけど、「いや、もう弟子を持とうとは一切思ってないから」「どんなにお願いされてもダメダメ」とかずっと断られてたんですよ。

仲西:ま、それでもね、ちょこちょこ通うようにして。
「なんとかちょっと教えてもらえないですか?」っていうのを僕がずっとお願いしてたんですよね。うちの親父は紹介してくれただけで、「なんとかうちの息子に手作り教えてやってくれないか」とか一切言わなかったんで、「ま、やりたいんだったら自分でやんな」って言われて(笑)。

仲西:ずっとちょこちょこ通ってはちょっと作り方を教えてもらいたいって言って。
そしたら、「センスが悪かったらもう帰ってもらうからな」って言われて、そんな状態で「わかりました。それでいいんで教えてください」って言って。で、がっつり頑張って。

仲西:そういった経緯があって、お店に工房があったらいいなとは思ってたんだけど。
昔、うちのじいちゃんが生きてた時はちゃんと修理工房ってあったんですよ。でも、じいちゃんが亡くなってから工房も使わなくなっちゃって、それがちょっと寂しいなと思って。

仲西:原点回帰じゃないけど。
ま、確かにほら、時代とともに、デザインもファッションも作り方もずっと変わってはくるけれど、うちの仲西眼鏡店って、「ものづくり」の思いに対しては昔から変わってないよねって思って。会社でしっかりものづくりやろうって本当に本格的にお店の中に工房を作り出したのが、九年前か十年ぐらい前。うちのお店を改造して工房を作ったんです。

工房の登場

田中:ちなみに、今のこの天神の店舗ですか?

仲西:いや、天神コアにあった一個前のお店だね。
天神コア時代に工房を作って、その時は通路に面してはいなかったんですよね。お店の中に四角い仕切りを区切って、その中でメガネ作ってたんですけど。お客さんももの珍しくガラス越しに作ってるとこを見るわけですよ。そうやって作ってるんだ、みたいな感じで。

仲西:眼鏡を作っているところを見るっていう体験。
メガネってここで作られて、こういう風にして作ってるんだってお見せするのは、結構インパクト大きいんですよね。
で、修理もできますよ。まあ、それはここで作っとうけん修理できるよねって。
メガネ磨けますよって。ま、それもここで作っとうけん磨けるやろねって。暗黙の了解で。

仲西:お客様に何も言葉を発しなくても作っているところを見せるだけで安心感と信頼を得ることができるっていうのが一つと。
あとはやっぱりこう、なんかついついものづくり好きな人ってあのものづくり動画ってついてずっと見ちゃうじゃないですか。

田中:そうですね。ずっと見ちゃいます笑

仲西:そうそう、ずっと見ちゃうでしょ。
なんか刀鍛冶屋さんが刀かんかんかんって作ったりとか、あんなの絶対自分は刀とか持たないのに見ちゃうじゃないですか。

仲西:通りがかりになんとなくブラブラしてるお客さんとかも、暇な時に窓越しにこうやって作ってるんだみたいにしてね。
無料で見学できるじゃないですか、別にお金払うことなく。知り合いでもないのに、ただ店を覗けば作っているところを見れる環境なんですよね。
これって結構僕の中ではすごく大きいなと思ってて。

仲西:やっぱりエンターテイメント性っていうのを考えると、ものを作っているところを見せる。
本当は汚いからあんまり見せたくはないんですけど(笑)。ものを作ってる環境をお客様に見せることができるっていうのは、やっぱりお客様にとってもプラスだし、うちにとっても暗黙の信頼みたいな感じが生まれるので、そういった意味では工房はお店に併設っていう形でお客様にしっかり見えるところに鎮座して見せてた方がいいんじゃないのかな?というふうに思ってます。

田中:私も工房があってこその仲西眼鏡店だと思います(笑)。

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